↑ザ・ノンフィクション 2020年4月19日(日)放送
「52歳でクビになりました。~クズ芸人の生きる道~」
に対するコメント。
あらすじは、
・52歳独身、貯金なしのピン芸人
・ギャラ飲み(ヨイショ)・お車代、弟子(後輩)からの借金、パチスロで生計を立てる
・売れかけたことはある
・「ネタはもう20年作っていないのではないか」と元相方
・「R1・M1はくだらない」
・「パチスロは命を懸けている」
・年老いた両親の言葉は、本人にとってきつい様子
・16年間面倒を見てくれたワハハ本舗の師匠から「クズ芸人」と呼ばれる
・ウケない箱は「アウェイ」
・それは「言い訳」だと師匠
・ワハハ本舗のネタ見せを仮病欠席
・師匠からのクビ宣告
・ゲイでもないゲイキャラで芸人生活継続
こんな内容だった。
52歳にしては見た目が若い。
若いというより、幼いと言った方が適切かもしれない。
実力はなく、努力もせず、プライドが高い。
確かなクズ芸人だった。
これを、大御所、苦労して売れた芸人、死に物狂いの売れない芸人、努力しない売れない芸人、芸人に見切りをつけた元芸人が見ていたら、それぞれ色々な感想が湧き出るに違いない内容だった。
全く芸が無いかといえば、そうでもない。
本人より2つ、3つ年下の社長に呼ばれ、一緒に飲み、ヨイショする。
そんな「仕事」だけで一ヵ月の生活が成立するのなら、それは芸に思える。
ただし、芸人が目指すべき芸と呼ぶにふさわしいものではないのかもしれないが。
ウケないのは客が重いから。
「こいつは売れない」と思った芸人が、(本人の目から見て)大した努力もしていないのに売れていく様を何人も見てきた。
この世界は何が起こるかわからないから、芸人を辞めることはない。
本人が幸せなら全く問題ないと思った。
客のせいにしたり、新ネタを作らない、新ネタの世間から評価してもらうことを拒否することに対する無力感だとか罪悪感だとか、そういうネガティブな感情を抱かず、ギャラ飲みの金で生きていく毎日にそれなりの幸福を感じているのなら、他人が何と言おうと、良い人生なのではないかと思う。
だが、この本人は、年老いた両親からわりとボロクソに言われて、さすがに10代・20代ではないから、その言葉にキレることはなく、ただただ居心地悪そうにしていた。
その様子から、ちゃんと本人も、そう幸せな人生ではなく、また、親不孝していると感じていそうな雰囲気を感じた。
さらに、ウケないと「もうちょっと笑えよ」、ちょっとウケると「(この場だと俺は)ウケるねw」と喜怒哀楽を込めて客席の客に対して話してしまっていた。
虚勢を張って、はったりで生きていたって、他人様に迷惑を掛けず(両親には掛けてしまっているかもしれないが…)、幸せならそれで良いじゃないか。
それを、他人がネットが何と言おうと関係ない。
なのに、この本人は、虚勢を張り続けることすら出来ていない。
親にボロクソ言われたら、「あと少しで売れんだよ」と軽くキレろよ。
ウケない客に対しては心の中で、「お前らのセンスがない」とケチらせよ。
ワハハ本舗の師匠からクビを言い渡され、でも、芸人を続けるべく、ゲイでもないのに女装の道を選んだ。
女装は、例えば、男性にも女性にも属することが出来ず、自分の性とは一体何なのかと考えに考えて辿り着いたり、何かをきっかけに美を探求することに目覚めたり、そういう考え抜いた人だけが行きつく所なのではないかと思う。
だが、この本人からは、「見た目が派手になれば何か起こるのではないか?」といったような浅はかさしかなかった。
見ててムカついた。
芸人を辞めたら、ただの52歳で社会経験の無い無職になる。
もやは、芸人という名称を名乗ることが出来なくなったその時、本質的にこの本人は生き続けることが出来なくなる。
分かる、それは分かる。
でも、考えに考え抜くことなんて出来やしないんだから、虚勢を、強い虚勢を張って生きていくより他ないじゃないか。
ダラダラと芸人を続けること以外の一貫性を持てよ。
もっと虚勢を張れ。