2022年7月8日追記:新たに引用記事を追加
ブログ開設(2019年10月)後、初めていただいたコメントに記載されていたニュースに対するコメント。
コメントを書いていただけると、お知らせメールが届くらしく、
(え?コメント?強烈なダメ出しか?)
と思ったがw、そんなことはなく、「薬学部の新設・増員、原則不認可」というニュースを教えていただいた
(ちなみに、普通のコメントだけでなく、現実世界とリンクしないネット内で収まるような罵詈雑言なら、遠慮なく書いてもらって大丈夫です)。
調べてみると、それらしい記事を見つけたのだが
本文を読むには会員登録必須なようで、これがめちゃ高い(無料トライアルあり)。
m3や日経DIでは現時点で扱いが無く(2022年7月8日追記:m3、日経DIの記事を確認)、Twitterでもまだあまり話題になっていなかったので、上記記事で触れられていた、『文部科学省の「薬学部教育の質保証専門小委員会」』をググってみることにした。
↑ここの資料2 6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ(素案)について、コメントしていく。
以下、「資料2」の要約。
- 薬学部の入学志願者数減少傾向に伴い、志願倍率の低下、入学定員充足率80%以下の私大薬学部が3割に達した。
- ストレート(留年・休学等なし)国試合格率の低い大学は、教育課程に課題を有する。
- 1科目入試や多くの留学生の受け入れなど、多様な学生確保が行われる一方、一部の大学では、学力確認を軽視して入学させてしまう事例も。
- 上記に加え、薬剤師の過剰が見込まれていることから、優秀な学生の確保への懸念が示されている。
- 質の高い薬剤師養成のためには、入試方法の見直し、入学後の教学マネジメントの確立、教員の質の向上が必要。
- ストレート卒業率・国試合格率、各年次の留年率、第三者評価の結果等については、ホームページや入学案内等において、受験生や保護者、在学生等に分かりやすい形で公表すべきであり、新卒の国家試験合格率を掲載する場合には、ストレート国試合格率も併記すべき。
- 6年制薬学部の新設・定員増は、今後、抑制することを速やかに制度化する必要あり。
- 入試競争倍率、入学定員充足率、ストレート卒業率・合格率、退学等、酷い大学は文科省が強く改善要請すべき。
- 定員未充足大学に対する私学助成金のより一層の減額を検討すべき。
- ヒアリング調査において、入学後に薬剤師としての適性と本人の資質・能力のミスマッチが生じている事例も。
- 入学後の学力に課題が見られる場合には、リメディアル教育など学生の学力に応じた適切な支援を行うことが重要。
- 支援後、なおも薬剤師を目指すのが難しく、かつ、他の分野への進学を希望する学生の場合、その支援は、低学年など早期の段階から相談体制を充実させ、本人の希望に応じた進路変更など多様なキャリアパスを確保できるよう配慮することが重要。
まーーー長い。
長い割に重要な部分は少ない。
記事のタイトルは「薬学部の新設・増員、原則不認可へ」となっているが、あくまでも現時点では、「薬学部の新設・増員、原則不認可を早急に制度化すべき」と提言しているに過ぎないことは留意する必要がある。
感想は、仮に、このまま薬学部の新設・増員、原則不認可が制度化されたとしても、それ自体に大した意味はないけれど、これをきっかけに、薬学部に対して益々厳しい措置を講ずること"も"ありますよという重要なアナウンスにはなるのかなーと思った。
まず、質の高い学生を確保することと、質の高い薬剤師を養成することに、薬学部の新設許可だの不認可だの関係ない。
例え、わけわかんない名前がついていても、間違いなく定員割れは起きない。
そして、両学部の女子大生たちはすべからくモテる。
アナウンサーだって輩出するかもしれない。
また、パッと思いつくのが、薬学部ではないが、秋田県の国際教養大学。
ここは2004年開学の公立大学で、入試は国語と英語の2科目で行われるらしい。
雪深い秋田県。
秋田県の人には大変申し訳ないが、一般的な受験生が思い浮かべる地理的な魅力度は高くないかと思う。
それにもかかわらず、Wikipediaによると、学生の24%が関東出身、14%が関西出身らしい。
さらに、どれだけ信じて良いかは分からないものの、経済雑誌での評価は高かったし、口コミも高評価だった(母校の口コミも調べてみたが、私大ワースト30ぐらいの低位置だったw)。
つまり、大学のブランド力や、確かな教育理念があれば、むしろ、新設することで質の高い学生やら薬剤師の養成につながるはずである。
また、全体としては人気のなくなりつつある薬学部を、今さら新設したいと思う大学は少ないだろうから、たぶん、この薬学部不認可というのはさほど重要ではなくて、
私学助成について、必要経費の実態等を踏まえた学部等に応じた配分・単価の見直しや、定員未充足大学に対する私学助成の減額率の引き上げ、不交付の厳格化等による教育の質向上を図ることを目的とした定員減へのインセンティブ付与など、全体の構造的な見直しを進める。(同提言 14 頁)
例えば、上記のような、より踏み込んだ措置を講ずる"かも"しれないよ。
だから、こっちから注意する前に何とかしてね。
あれ?不認可にしたのに、まだ質の高い学生が確保できないね。
なら、次の措置を講じようかな。
というような、布石の意味合いが強いのではないかと思う。
さて、薬学部の新設・増員、原則不認可の話が、もし、Yahoo!ニュースに取り上げられれば、「少子化なのに大学多すぎ」「Fランは潰せ!」みたいなコメントに、いいねがたくさん付くに違いない。
Fランで過ごした俺も、学歴コンプや無気力で実りの無い学生生活となってしまうようなFラン大学は潰してしまった方が学生本人のためとも思う
(反面、鹿児島国際大学の戸川さんやFラン大学に入って良かったという話もあるので、Fラン大学の必要性も感じる)。
もし、不必要とされる大学をバッサバッサと潰していくことと、高卒で働くことの社会的評価が今よりもずっとずっと高くて一般化していれば、勉強したい人、働きたい人、一度は不本意な大学へ進学してみたものの実り無く、きっぱり退学し、早期に社会参加する人など、学歴コンプや無気力による若い時間の浪費を今よりは大幅に減らせるかもしれない。
また、無駄な大学の分の助成金を残っている大学に回せ、教育費の懸念から子作りを躊躇している家庭だって減らせて、出生率が上向くかもしれない。
こんなことは、誰しも思いつく。
でも、実際には、Fラン大学を本気で潰しにかかったという話はないはず。
それは、例えば、行政である自分たちのルールにおいて許可した大学を、ヤフコメの理論を用いて自分たちで潰してしまったら、ルールの意味がなくなってしまい、整合性が取れなくなってしまうからかもしれない。
あるいは、Fラン大学を強引に潰してしまうと天下り先が減ってしまい、上司に怒られるのかもしれない。
たぶん、行政は一つずつ布石を打ちながら徐々に徐々にしか進めないのだろうし、出来ればなるべく、自ら動きたくないのではないだろうか。
だからこそ、全薬学部に各年次進級者数などを半強制的に公表させたのだと思う。
受験生の自然な選択によって、Fラン大学薬学部の入学者が自然と減り、経営破綻となれば、Fラン大学の経営力、指導力、適応力の無さを原因にできるから(留年者数のグラフで2015年度入学と、2019年や2020年度入学を比較すると、受験生がきちんと選択している様子をうかがえる)。
布石を打つ文科省、進学先に選ばない受験生。
さあ、どうする!Fラン大学薬学部。