ゴクツブシさんのコメント

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【読書感想文】「これが私の薬剤師ライフ 6年制卒50人がキャリアを語る」へのコメント

↑へのコメント

 

前回、上記書籍を紹介する宣伝記事と、書籍の元となったと思われる日経DIや日経DIキャリア(以下、「ネット」とする)の記事についてツッコんだ。

書籍化で、新たな記事や、加筆修正等変更があるのか気になったので、図書館で借りようと思ったのだが、あいにく、居住地の図書館は所蔵していなかった。

なので、図書館に請求を掛け、図書館が隣の市の図書館から借りてきたものを借りることとなった。

散々、アフィリエイトリンクを貼り、それとなく購入を促しているにもかかわらず、俺自身は図書館から借りたもので済ませるという姿勢、すみませんw。

 

この本はタメになる

最初に言っておきたいのは、この本は次の方々へ特におススメできる。

  • 薬学部に興味を持つ小中高生とその家族(小学生には難しい内容が多々あるかもしれない)
    • →薬剤師の仕事内容を具体的に知れる。

       

  • 6年制薬学部で実務実習中の5年生
    • →就活の選択肢を検討・明確化する上で大いに参考になる。

  • 入学時、 薬剤師になると固く誓ったものの、日々の講義に辛さを感じる薬学生
    • →仕事内容や執筆者の理想を知ることで、勉強のモチベーション向上。

 

CiNiiにて、各大学の所蔵状況を確認してみると、2022/9/1現在、20大学で所蔵されている。

大学図書館がCiNiiに登録していないだけかもしれないので、実際に所蔵している大学はこれより多いのかもしれないが

(実際、国立国会図書館での検索結果に出てこなかった公立図書館から借りたものを、今、又借りしている)、

発行後約4ヵ月で少なくとも20大学所蔵というのはどうなのだろうか?こんなものなのだろうか?

どちらかというと、偏差値の高めな大学ばかりなのも気になる。

いずれは全薬学部の図書館に所蔵されるべき本だと思う。

 

書籍化「これが私の薬剤師ライフ 6年制卒50人がキャリアを語る」の内容

やはり、前回紹介したネットの記事が掲載されたものだった。

本と、ネットの記事の、書き始めと書き終わりを比較しながら読んだ限り、数本の本側の記事で、書き終わりの一文程度が削除されているものもあった。

一文程度なので、内容が変わってしまう程の変更ではない。

もしかすると、記事の中間にも加筆削除等修正があるかもしれないが、基本的にはネットに掲載されたものをそのまま書籍化しているものと思われる。

 

だから、改めて48人と、ネット新掲載2人(2022/9/1確認)の薬剤師ライフを本で読んだが、俺自身の感想は前回記した感想のままで変わらなかった。

したがって、俺のように滑り止めでFラン大学薬学部に入学したり、俺のようにFラン大学薬学部で留年してしまう程の劣等生に、この本はあまり響かないかもしれない。

 

感想

さて、前回記した自分の感想を改めて読み返したが、まあ偉そうなことを書いているwので、多少、加筆しようと思う。

 

前回、大部分の記事の感想を「ストレートにいうとつまらなかった」と書いた

(繰り返しになるが、彼らのキャリアの歩みをつまらないといっているのでは決してない)。

これに対し、もし、日経DIから

「じゃー、51人目としてお前に書かしてやるから、書いてみろ」

というオファーを打診されたとしたら、いったい俺は何を書くだろうということを、彼らの薬剤師ライフを読みながら同時に考えていた。

  • 勤務地と年収だけで選んだ職場。
  • 将来を見据えることなく、短中長期的な目標など一切持たずに、淡々と働く日々。
  • 特に自ら積極的に手をあげたわけではなく、欠員に次ぐ欠員から、最後の正社員という理由だけで仕方なしに回ってきた、仕事内容の変更や、店舗異動。
  • 「対物から対人へ」に嫌気し、退職。

このようなことを、起伏のない最低な駄文で仕上げるに違いない。

そして、俺につまらないといわれた執筆者たちからは

(こんな文章で、よくあんな感想書けるな)

と思われるのだろう。

 

ネットレビューへのコメント

パッと出てきたのは上記3サイトだった。

2022/9/1現在、Amazonは4つ、楽天・hontoは1つずつのレビューがあり、どれも良い評価といえるレビューだった。

その中で、「執筆者の出身大学に偏りは無い」といった趣旨のレビューが気になったので、

  • 執筆者50人の出身大学を、偏差値区分ごと、所在地方ごとに分け、
  • 全国薬学部79校を、同様に、偏差値区分ごと、所在地方ごとに分け、

両者で比較してみた。

なお、偏差値区分は河合塾公表の、入学試験ごとの難易度から算出されたと思われる、偏差値データを参考に、6年制と思われるデータを用いた。

同じ大学で複数回入試が行われる場合、より低い偏差値を採用している。

  • 偏差値区分

 

  • 大学所在地

それぞれ、上の円が執筆者、下の円が全国薬学部のグラフである。

グラフの各色の要素は、上下のグラフで同一である。

要は、上の円グラフの各色が下の円グラフの各色に近づけば近づく程、全国の薬学部の実態に近づくということである。

全国の薬学部の割合に対し、

  • 偏差値区分では、45以上50未満の執筆者0人、50以上55未満の執筆者数に特に偏りが見られる。
  • 大学所在地では、東北、甲信越(新潟県)、中国、四国地方所在大学出身者の執筆者0人で、関東地方所在大学出身の執筆者が多数と偏りが非常に大きい。

また、同じ大学の執筆者数は下記の通りとなった。

執筆者がどのように選抜されたのかは分からないが、恐らく、日経DIと何人かの執筆者がつながりを持っていて、彼らのコミュニティーに依存した人選だったのではないかと思われる。

そうなると、全国規模のコミュニティーなどそうそう無いだろうから、同じ大学の執筆者がそれなりに出てきてしまうのは仕方がないのかもしれない。

 

ただ、執筆者に女性が僅か14人というのは寂しい。

結婚・出産で、女性はどうしてもキャリアから離れなければならないことから、薬剤師ライフに特筆すべき点を見い出すのが難しいのかもしれない。

また、6年制1期生は30代中盤あたりなので、ちょうど、育休を使い、子育て真っ最中なのかもしれない。

しかし、39歳以下の女性薬剤師数は同年齢男性薬剤師数の約1.6倍の人数(令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況|厚生労働省)なので、やはり、もう少し女性執筆者の記事が掲載されるべきであった。

 

編集長記載「おわりに」へのコメント

巻末に日経DI編集長「おわりに」が掲載されている。

趣旨の一部は下記の通り。

  • 6年制薬学部卒薬剤師が、どのような思いで日々働き、自身のキャリアについてどう考えているのかは、薬剤師向けメディア運営者として関心事の1つ。
  • 6年制薬学部の目的が「臨床に係る実践的能力を培うこと」から、執筆者は「臨床現場で働いている方」もしくは「薬剤師資格を生かしてキャリアを重ねている方」の条件で選抜。

出典(参考)

日経ドラッグインフォメーション (編). (2022). これが私の薬剤師ライフ 6年制卒50人がキャリアを語る. pp. 334. 港区, 東京都: 株式会社日経BP.

 

これらの感想は、この本についてはこれで良いと思うが、これとは別に、6年制薬学部そのものの歩みについても、誰かが総合的に考察すべきなのではないだろうか。

 

今回選抜された執筆者の記事から、この50人に限っては、6年制薬学部において臨床に係る実践的能力を培った立派な薬剤師といえると思う。

したがって、6年制薬学部の目的は果たされたとする見方もあるかと思う。

 

しかし、6年制薬学部の定員に対して、どれだけの学生がその実践的な能力を培い、薬剤師国家試験に合格し、薬剤師として活躍しているのかは、この本では分からない。

なぜなら、「臨床現場で働いている方」もしくは「薬剤師資格を生かしてキャリアを重ねている方」という条件の下、選抜したからだ。

 

6年制薬学部の目的を果たす過程で、副作用として、旧4年制時代には存在しなかったFランク大学薬学部や低偏差値大学薬学部が多数誕生し、大学によっては退学率50%を超える程の多くの"犠牲者"を出し続けている。

そして、この50人とは本当に最も遠い対極に位置する薬剤師が、俺なのである。

俺は臨床に係る実践的能力など一切知らん。

旧4年制薬学部へ入学できる程の学力があれば、確信を持って、6年制薬学部へ進学するなどということは起こり得なかった。

滑り止めゆえに、後悔の想いはあれど、医療に対する想いなどあるはずがない。

薬剤師としての俺の存在は、間違いなく副作用の影響によるものであり、間違いなく副作用が存在してしまっていることの証明でもある。

俺が学生の時よりも、今は定員割れの大学が増え、人気校・不人気校の二極化が進んでいる。

だから当然、俺のような薬剤師が他にも存在するはずで、今後、その数も徐々に増えていくはずである。

俺だけなわけがない。

 

もちろん、6年制薬学部の目的を果たした薬剤師も、今回の50人だけでなく、もっと沢山いるかと思う。

彼らの総量と、俺たち副作用の総量を量り、検証し、そろそろ、6年制薬学部そのものの歩みが正しいものなのか、それとも、意図しない方向へ進んでしまっているのかを、学費さえあれば誰でも入れるようになってしまった薬学部という紛れもない事実も踏まえつつ、客観的に物事を見極められる誰かが、きちんと考察すべきである。

 

また、文科省

  • 入学後に薬剤師としての適性と本人の資質・能力のミスマッチが生じている事例も見られた。
  • 薬剤師に求められる資質・能力を十分理解しないまま進学した等の理由により、他の分野への進学を希望する学生の支援にあたっては、低学年など早期の段階から相談体制を充実させること

出典

文部科学省:6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ. 2022. https://www.mext.go.jp/content/20220823-mxt_igaku-000024615_1.pdf,(参照2022/8/24)

これらの指摘をしていることから、薬学部入学前の情報提供と、入学後、薬学部に馴染めない学生に対する出口戦略的な情報提供の充実が必要なのだろう。

 

6年制薬学部の歩みの正当性を厳しく評価し、入学前後の情報提供をあらゆる角度から実施できるのは、大学や行政機関ではなく、実は、薬剤師向けメディア運営者なのかもしれないと俺は思っている。

俺も気が向いたら、過去の俺のような薬学生へ向けて、このコメ欄でグチグチ書いてくからさw。